TOP_Topics 再開発、ここに注意

(15)マンション住民は「住民全員で1票」?

投稿日:

事業者側の説明によれば、「都市計画決定」(=法律による地域全体への網掛け)の実行に際し、港区が事業者へ要求している「80%の地権者同意の取得」を計算する際に、戸建て地権者は「1人1票」として計算するのに対し、マンションの場合は地権者が何人いようと「1棟全体で1票」なのだそうです。

まさに「1票の格差」です。

泉岳寺には119人の区分所有マンションがありますが、戸建地権者が1票の権利を有するのに対し、このマンションは119人が集まって1票なのです。

「1票の格差」は実に119倍もあることになります。

国政選挙でも格差は3倍以内ですから「119倍」はあまりにも大きすぎます。

上述の通り、私たちの住む港区では事業者に対し「8割の地権者同意」を取得するよう行政指導しています。しかしその「8割」の数字は事業者にとり極めて有利な方法(即ち、マンションは全体で1票と見做す方法)で算出されようとしているのです。フェアであるとは言えません。

今はまだ再開発が決まった訳でも何でもなく、単に民間企業である事業者が「再開発を進めたい」として地権者から同意を取り付けようとしているだけの段階なのです。公共工事が決まった訳でもない今の段階でマンション地権者の大切な権利が制限されることがあっては決してなりません。平等の原則に反するこのようなアンフェアなルールは深刻な財産権、或いは人権の問題と捉えることもできるのではないでしょうか?

-TOP_Topics, 再開発、ここに注意

関連記事

(208)事業費高騰で地権者はどうなる?

昨今、建設資材の高騰や職人不足等の影響を受け事業費が急騰しており、ここ3年間で総事業費は30~50%も上昇したと言われています。 2025年に開催予定の大阪・関西万博の会場建設費が5年間で1,250億 …

(252)三菱地所に見る「地権者攻略」の手口

本トピックスは(251)三菱地所に見る「激安保留床で大儲け」の仕掛けからの続編です。引き続き「芝三丁目西地区再開発」で三菱地所が実際に地権者へ配布した資料を使い、今回は地権者攻略の手口について解説して …

(47) 再開発事業は問題だらけ 

本トピックスは、泉岳寺「地権者の会」が最近地元で発行した「会報」の一部を当ホームページ向けにアレンジし直したものです。内容の多くは既に当サイトにても随所で公開済ですが、地権者目線で見た再開発事業の問題 …

(183)「再開発」に依存し続けることのリスク

今回は各地の「マンション区分所有者」の皆さまへのメッセージです。 当地区で現実に起きている問題を参考に、是非とも「マンションの災害リスク」について今一度お考え頂ければと思います。 当地で住友不動産が進 …

(43)準備組合は設立すべきか?(その1)

最近、首都圏各地の複数の地権者団体から、「再開発に向けて準備組合を設立したいとの提案が出されているが、果たして応じるべきか?」との相談を受けています。 もちろん、地域ごとに事情は異なりますし、地域全体 …