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(222)住友の「ぼろ儲け商法」に豊島区民が動いた!

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本トピックスは(217)住友の錬金術:1,300億円の事業で含み益が1,300億円?の続きとしてお読みください。

何が問題だったのか?

問題を一言で言えば、「南池袋二丁目C地区市街地再開発事業」において住友不動産は民間業者として再開発事業に協力する身でありながら、終わってみれば総事業費(1,279億円)を上回る1,364億円もの「含み益」を住友側(注1)が得ると言う試算結果が明らかとなった点にあります。
再開発は市民の税金も投入される極めて公共性の高い事業であるだけに、もしこれが事実とすれば、例え違法性は無いとしても、今後の再開発の在り方(特に「補助金」支出の是非)をめぐり社会で議論されるべき由々しき問題だと言えます。

一般にデベロッパーと呼ばれる再開発事業者は営利目的で再開発を進めようとする民間業者であり、彼らの目標は再開発事業を通じて自社利益の最大化を図ることにあります。
資本主義の世の中ですから、このこと自体に何ら問題はありません。
しかし、再開発事業(第一種市街地再開発事業)は、地元地権者が主体となり、自らの発意と合意に基づき、事業リスクを引き受けながら行政も巻き込み進めて行く「街づくり」であり、更には「市民の税金」まで投入される極めて公共性の高い事業です。
そのような事業において、初期の段階から「事業協力者」として事業の中枢に入り込み、時として地権者が主体であるべき「準備組合」や「再開発組合」を傀儡化し、巧みに自社の息のかかったコンサルや不動産鑑定士を採用することで再開発事業の実質主導権を事業主体である地権者から奪い取り、最後は「参加組合員」として保留床処分金を支払い保留床を手にするデベロッパーが、終わってみれば総事業費を上回る規模の莫大な「含み益」を手にすると言うのは如何なものか? しかもその「含み益」の源泉が、地権者の犠牲のもとに彼らが設定する「激安保留床単価」にあったとなれば、なおさらこれは「再開発の理念」からも大きく逸脱するものであり問題だと言えないでしょうか?

(注1) この現場では実際に再開発を主導する住友不動産の他に2社が参加組合員として関与しています。しかし、何社いようと「保留床処分金」の総額は不変ですし「含み益」(当方の試算では1,364億円)にも変化はありません。

豊島区民が区議会へ陳情書を提出した!

この様な由々しき事態を、市民も黙って見ているわけではありません。
住友不動産側の「ボロ儲け商法」を危惧した豊島区内の地権者団体が、豊島区議会に対し令和6年(2024年)6月13日付で陳情書を提出しました。近日、議会内の専門委員会にて審議される予定です。
今般、その陳情書を入手しました。本トピックスの最後に添付しますのでご覧下さい。
この陳情書によると、事業主体でもない民間業者の住友不動産側が当該再開発事業において、事業費をはるかに超える1,418億円(注2)もの利益を保留床の処分に伴い享受することを問題視。その実態を豊島区議会へ報告するとともに、これを再開発事業の構造的な問題として捉え、今後民間業者への監督・指導を目的とした法整備がなされるよう、国政レベルに対しても働きかけを行うことを議会へ求める内容です。

(注2)当サイトが本年4月に公開した試算では住友側の「含み益」は1,364億円と報じましたが、今回の陳情書は、これを上回る1,418億円が「含み益」だとしています。両者に差異が生じた理由は、主として建築専有面積の取り方や想定分譲収入の違いによるものですが、何れにしても、住友不動産側が総事業費1,279億円を大幅に上回る「含み益」を享受することに変わりはありません。

陳情書提出の意義

一般に、陳情書が区市町村議会へ提出されると、再開発問題を所管する専門委員会(豊島区の場合は「都市整備委員会」)がこれを審査し、提出者には後日採択、不採択の結果が通知されると共に、区市町村の広報誌や議会報告等にて住民へ告知されます。
豊島区議会の場合は、再開発推進の立場をとる会派も複数存在するため、果たしてそのまま採択されるかは不明です。然し乍ら、今回の陳情書は再開発と言う、市民の税金も投入される公共性の極めて高い事業において「総事業費以上の含み益を民間業者が得る」と言った、行政も想定していなかったであろう実態を、具体的な試算数字を添えて議会へ問題提起した点に意義があり、採択・不採択に関わらず、今まではブラックボックスであった「業者ぼろ儲けの実態」が後日豊島区民へ告知される点に意義があると考えられます。
因みに、南池袋二丁目の再開発で支払われる補助金は337億円です。住友不動産側が1,364~1,418億円もの「含み益」を得る事業において、市民の血税とも言える「補助金」を支給する合理的根拠があるのかについても今後継続して論議して貰いたいところです。

南池袋での「ぼろ儲け」は氷山の一角

住友不動産の「ぼろ儲け」の源泉が、彼らが設定する激安保留床単価にあることがわかってきた以上、南池袋二丁目以外の地区でも同様の手法が使われていると考えるのが妥当ではないでしょうか?しかし本当にそうであるかを実証するのは各地区の地権者の皆さまです。
当サイトでは「事業計画数字」(注3)を基に再開発事業者(=参加組合員)の「含み益」を計算する方法を下記のトピックスにて公開していますので、
是非、皆さまの地区においても同様の計算式を用いて検証願います。
↓↓↓
(217)住友の錬金術:1,300億円の事業で含み益が1,300億円?
(218)住友の錬金術(続編):もしも保留床単価が適正だったら

(注3) 「事業計画数字」が不明の場合は、再開発事業者側へ要求願います。再開発は「地権者が主体」の事業ですから、業者側にはこれを開示する義務があります。再開発は数百億円規模の大型事業ですから、住友不動産のような大手企業ともなれば、当然、準備組合設立前の段階から詳細なる「事業計画書」が存在しており、時間の経過と共に数字をアップデートしています。「未定」や「不存在」などあり得ません。それをいつまでも事業主体である地権者に対して開示しないとしたら、それは極めて不誠実な行為であり、地権者に知らせたくない何らかの理由(=手の内を見られたくない等)があるからだとご理解ください。

まとめ

再開発は市民の税金も投入される公共性の極めて高い事業ですから、まさか再開発に関与する民間業者がこれほど大儲けするとは「行政」も、そして「議会」も想定していなかった筈です。
その意味で、今までブラックボックス化していた「民間業者の過度な利益」に踏み込み実態を解明した豊島区民が、今回、具体的数値を添えて区議会へ陳情書を提出した意義は大変大きいと言えます。

豊島区(南池袋二丁目)で起きたことは、全国各地どこでも起こり得ると考えるべきです。
再開発は地権者の「土地資産の処分」や「将来の生活再建」に深く関係してくる不動産取引ですから、後日後悔をしないためには地権者側も再開発の基礎知識を身に付けると同時に、地権者個々人が再開発に対し「意見」、「要望」、そして「問題意識」を持つことが何よりも大切です。
地権者は益々「無知」、「無関心」、「他人任せ」ではいられなくなって来ています!

 

 

【陳情書】 (注:陳情書内の赤線は当サイト側で引いたものです)


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