400名を超える地元住民が再開発の中断を求めて立ち上がりました!
コロナ禍を契機に「再開発事業に対する見方や考え方を変えるべきだ」との意見が各地で芽生えつつあります。
泉岳寺でも地権者を含む地域住民442名が連名で、現行再開発計画がこれ以上進められることは支持できぬとして先日、港区長に対し再開発中断を求める「要望書」が提出されました。
[添付「要望書」(=署名用紙)をご参照下さい]
区長へ再開発の中断を求めた主な事由としては下記の通り:
1.コロナ禍により社会経済情勢が激変したこと、
2.これに伴い現行再開発計画の事業性に疑念が生じてきたこと、
3.このまま再開発が進むと、地権者が将来損失を被る懸念があること、
4.住民の生活も不透明性が増し、再開発を考える余裕がなくなったこと、
コロナ感染拡大による社会経済情勢の急激な変革の中で、いままで再開発事業を支えてきた前提条件そのものが崩れつつあります。
テレワークの普及やソーシャル・ディスタンスに代表されるように、私たちの新しい働き方や生活様式は、都心部のオフィス、タワーマンション、ホテル、商業施設、と言った再開発事業を構成する施設すべてにわたり、需要の縮小をもたらす懸念が出て来ました。今後都心への一極集中が解消し、人口が郊外へと分散される動きが顕著となれば、現行の再開発計画にとっては更に大きな痛手となります。
当然のことながら、私たちは再開発に対する見方や考え方を大きく変えなければなりません。
もしこのまま現行再開発が推し進められれば、地権者や周辺住民が将来損失を被る懸念が一層高まります。(特に、泉岳寺で行われようとしている「第一種再開発事業」は地権者による共同営利事業の形をとりますので、もし事業が採算割れとなれば地権者に損失負担が及ぶことになります)
それにも係わらず、住友不動産側は地権者への充分な説明や協議を行うことなく、コロナ禍が発生する以前の事業計画のまま、今も一方的に再開発を推し進めようとしているのが現状です。
実際に今も住友不動産側の人間が事前連絡もなく未同意の地権者宅を訪れ、あの手この手で再開発への同意を取付けようと昔ながらの個別訪問を続けており、「コロナの時代に非常識だ」、「迷惑だ」、「困っている」などの苦情が地元「地権者の会」へ寄せられているそうです。玄関先に「再開発に関する訪問お断り」の張り紙を掲示している先に対しても事業者側は平気で訪問すると言った大胆さのようで、事業者のこのようなやり方に対する住民側の不信感が今回「港区長への再開発中断の要望」の形で表われたのだとも考えられます。
さて今回、港区長宛に提出された再開発の中断を求める「要望書」。
「要望書」自体に法的効力はありませんが、少なくとも400名を超える地域住民(=区民)がコロナ禍による社会経済状況の急変や自らの生活基盤の変化・不安を根拠に現行再開発計画の中断を求めたのですから、行政としても要望を無視するわけには行かず、区民が納得する形で何らかの解決策を示してくれることは間違いないでしょう。
延べ1,000人を超える住民が再開発計画に「NO」の意思表示
因みに再開発区域内には港区立の「泉岳寺前児童遊園」がありますが、この公園をめぐっては、2019年に港区民を中心に600名が移設反対の署名を行い港区長へ「移設反対の嘆願書」を提出しています。
(詳しくは(17)公園移設反対運動(その1)及び(18)公園移設反対運動(その2)をご参照下さい)
今回、新たに地権者を含む442名の地権者及び周辺地域の住民が現行再開発計画の中断を港区長へ申し入れたことで、
延べ1,000名を超える地域住民が再開発計画に「NO」の意思表示をしたことになります。
事業者側は日頃から「あたかも再開発が既定路線」であるかのような筋書きで、合意形成まで「あと一歩」などと地権者へ説明してまわっていると聞きます。
彼らの発行する「準備組合ニュース」も、都合の良い情報ばかりが散見され、地権者を再開発へ誘導しようとする演出が目立ちます。
しかし現実はこれとはまったく異なります!
延べ1,000名を超える地域住民が住友再開発の進めかたに疑念を表明しただけではなく、今回は区長へ再開発の中断まで申入れが行われたのです。
このような現実を事業者は以前から直視しようとせず、しかも地権者に知らせようともせず、ひたすら「合意形成まであと一歩です」などと言い続けて地権者を再開発の方向へと誘導しようとしているのです。良い話ばかりして都合の悪い話をしようとはしない。地権者に対する数多くの不公平、不公正な対応やルールを指摘されても一向に改めようとしない。現場で日々再開発への同意を求めて地権者と接しているのは住友不動産の社員とその関係先であるのが明白であるにも係わらず、彼らに抗議しても「私たちは事業協力者です。実際の事業者は地権者の皆さまで構成される準備組合です」などと常に切り返されてしまう。知識の乏しい一般の地権者に対して以上のような対応は如何なものでしょうか?誰が見てもフェアとは言えず、業界屈指の大企業の行う行為とは到底思えません。
何れにしても、一つの地域で1,000人を超える住民が再開発計画に「NO」を表明した以上、もはや再開発は簡単には進みそうにはありません。
港区としても住友不動産が推し進めようとしている再開発計画を認可するにあたっては、先ずは区民が納得する合理的な説明が不可欠となります。
各地の地権者団体や専門家等と意見交換話をしていてよく耳にするのは、地権者の知らぬ間に再開発計画が水面下で進んでしまい「気がつけば再開発がほぼ決定してしまっている」と言ったケースが散見されると言う点です。
泉岳寺では決してこのような事態とならぬよう、敢えてホームページ上で再開発計画の進捗状況を、事業者の動向や行政の対応なども含めて全国公開しています。
皆さまから寄せられるコメントやアドバイスも貴重な情報源となっていますが、何よりも全国の地権者団体や専門家の皆さまに泉岳寺の動向を注視して頂いていると言う事実こそが大きな支えとなっています。
今回の区長宛「要望書」の提出に際しても、港区を含む都内の多くの地権者団体から「支援」の書簡まで頂いています。
少なくとも泉岳寺では透明性・公平性を省いた形で再開発を進めることは困難となりつつあります。