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(280)住友不動産に「物言う株主」が登場!

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「物言う株主」とは、株主の立場を積極的に行使して企業経営に影響を及ぼし、企業価値(=株価)を上昇させることで利益を得ようとする投資家のことを言います。
彼らは「アクティビスト」とも呼ばれ、国内では「村上ファンド」などが有名でしたが、昨今では海外投資ファンドが「資本効率の劣る企業」をターゲットとし始めています。
米国系アクティビストとして名高い「エリオット社」(Elliott International, L.P.)は今般住友不動産の株式3.51%を取得し第三位株主(2026/1現在)へと浮上しました。
今後、同社が住友不動産の再開発事業へ与える影響には要注目です。

Contents
1. 「物言う株主」米国エリオット社の登場
2. 住友とエリオット:再開発事業では互いに「水と油」?
3. 早くもその影響か? 泉岳寺に見る住友不動産の変貌
4. やたらと目につく「住友不動産○○ビル」
5. まとめ

「物言う株主」米国エリオット社の登場

「物言う株主」「アクティビスト」とも呼ばれているように、彼らは株主としての立場を積極的に行使することで企業経営に圧力を加え、資本効率の悪い「低収益の不動産」や「不採算事業」などを処分させたりすることで短期間のうちに企業価値(=株価)を上昇させて利ザヤを稼ごうとします。その際、彼らの関心は再開発事業に代表されるような何年も先の利益ではなく常に「短期利益」を実現する点にあります。
今般、米国系アクティビストとして名高い「エリオット社」(Elliott International, L.P.)が住友不動産株式3.51%を取得し第三位株主へと浮上しました。予想通り、同社は早くも住友の経営陣に対し、「自社ビルの売却」や「株主還元の充実」など様々な改善要求をはじめている模様です。
因みに、住友不動産の筆頭株主並びに第二位株主は共に「信託口」ですから、これらの株主たちが自ら積極的に経営に口をはさむことは稀です。
従い、現状では

エリオット社が住友不動産の経営陣に物を申す最大の株主

と言うことになります。同社は既に多くの具体的な改善要求を経営側へ行っていることから、同社が今後の住友の再開発事業へ与える影響には目が離せません。

住友とエリオット:再開発事業では互いに「水と油」?

「今後の住友の再開発事業へ与える影響には目が離せない」と述べたのには理由があります。
それは住友不動産とエリオット社とは再開発事業に関しては互いに「水と油」の関係にあると考えられるからです。
「物言う株主」、とりわけ米国系アクティビストの主な関心事はROE(自己資本利益率)やROI(投資収益率)などの改善を通じた株価の上昇(=短期利益の最大化)にあります。これに対して再開発事業の実態はどうでしょうか?

再開発事業は20年先を見据えた「長期事業」ですから、
アクティビスト側の「短期利益」の目標とは根本的に相容れない

と言う現実があります。短期間に企業価値の向上を目指すアクティビストにとり、「20年後の期待利益」などは彼らの優先事項とはなり得ないのです。
また、住友不動産が再開発を進めるために初期段階から行う「地上げ」、更には地上げ後の「空き家」、「空き地」での長期放置、なども資本効率の観点から問題視されることになりそうです。

早くもその影響か?泉岳寺に見る住友不動産の変貌

昨今の泉岳寺周辺地区における住友不動産の活動休止は、ちょうどエリオット社の株主としての台頭とも時期が一致しており、どうやら無関係ではなさそうです。
泉岳寺では8年前から住友不動産が地元地権者たちへ強引な勧誘活動を行う一方で、地区内の不動産を次々と地上げして行き、地上げした物件を「空き家」や「空き地」のまま長期間放置し続けるといった無謀な行動に出ていました。
地元では「住友不動産の地上げの象徴」とも言われているマンションがあります。
泉岳寺の中門横にそびえ立つ「8階建て賃貸マンション」がそれです。

住友不動産は地上げ後に「再開発は既定路線だ!」との印象を地元民に対して植え付ける目的からか、まだ新しい立派なマンションを1棟まるごと「空き家」状態のまま放置し続けると言った企業行動に出ていました。
しかし、エリオット社の登場とあたかも歩調を合わせたかのように住友不動産は方針を転換。昨年から一気に入居者が増え始め、「空き家マンション」も現在ではほぼ「満室状態」となっています。
住友不動産が数十億円とも噂される多額の資金を投じて地上げした賃貸用マンション。そのマンションが長期に亘り1棟まるごとほぼ「空き家」状態で放置され続けて来たのですから、まさに収益を生まぬ「遊休資産」そのものであり、エリオット社がこれを問題視した可能性は十分に考えられます。(注1)

(注1) 実は、住友不動産はこの他にも区域内4棟のマンションで合計20を超える区画を地上げし「空き家」として今も放置したままです。しかし、4棟のマンションは何れも築50年を超えており、老朽化に加え耐震上の不安も抱えているため、地上げしてはみたものの、住友不動産名義では安易に賃貸に出せないと言った事情があるようです。再開発を急ぐあまり「経済合理性を無視した地上げ」が今となっては裏目に出た形です。地上げ物件が有効活用されておらず、賃貸もできないとなれば、もはや売却処分しか方法はありません。経営側にしてみれば「せっかく将来の再開発に向けて仕込んだ物件なのに今さら手放せとは…」との恨み節も聞こえてきそうですが、資本効率重視のアクティビストにそのような論理は通用しそうにありません。何れエリオット社も泉岳寺の詳しい実態を知ることになるでしょうから、その際に経営側はどのような対応をとるのか要注目です。

やたらと目につく「住友不動産○○○ビル」

東京都心部を車で移動していると、やたらと「住友不動産○○ビル」の看板が目に入ることにお気づきのことと思います。
住友不動産は竣工したビルを売却せずに自社で「含み資産」として保有し続ける傾向が業界内でも顕著です。エリオット社はこのような状況も「資本が有効活用できていない」として資本効率の観点から住友自社ビルの売却を経営陣へ求めているようです。例え住友不動産が莫大な「含み益」を有していたとしても、それが株価に反映されていないのであれば粛々と経営陣に対し「売却の圧力」をかけて行くのがアクティビストの手法です。
自社ビルを売却すれば多額の売却益を計上することができ、株価の上昇に寄与します。また売却代金を「借入金の返済」、「増配」、「自社株買い」等へ充当すれば更なる株価上昇に寄与できると言うのがアクティビスト側のロジックです。
長い年月をかけて蓄積してきた自社ビルと言う「含み資産」も、株主から「売却せよ」と迫られ、拒絶すれば「取締役の交代」を提案されたりするのですから経営側も大変です。エリオット社が住友不動産の経営陣にとり、今後の「再開発事業への向き合い方」を考えさせられる手ごわい相手であることはどうやら間違いないようです。

まとめ

再開発は竣工まで20年前後を要する長期事業であるのに対し、アクティビストが求めるのは今期や来期と言った短期間における「株価上昇」や「株主還元」ですから、両者の時間軸のズレはあまりにも大き過ぎると言わざるを得ません。
また再開発に関して言えば、住友不動産は「多くの物件を先行して地上げし、そのまま空き家・空き地として長期間放置し続ける」ことが知られていますが、アクティビストから見ればこの行為はまさに「資本の非効率的運用」だと映ります。
今般、アクティビストとして知られる米国エリオット社が住友不動産の第三位株主として登場しました。そして早くも様々な提案を経営陣に対して行っているようです。

アクティビストの目指す「短期利益重視」の方向性は、
長期的視点に立つ「再開発事業」の考えとは相容れない

だけに、住友不動産は今後、再開発事業をどのように扱って行くのか、その動向には目が離せません!

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